東京の宵空にあらわれた紫金山・アトラス彗星を撮る

2024-10-16

 2024年の10月中旬、日没直後の西の宵空に明るい彗星があらわれた。その名は「紫金山・アトラス彗星」というもので、ちょうど太陽に最接近して遠ざかりはじめた直後らしい。明るさ的には肉眼でも十分に見えるくらいだったのだが、天体観測にもっとも向いていない東京の空ではどうだろうか?

 なおこの彗星がどういうもので、どういう経緯をたどってこうなったのかについての概要は、以下の国立天文台のWEBページのリンクを張っておくのでそちらを見て欲しい。

 特に以下の一文が印象的だ。

今回の回帰の際に惑星などの引力の影響を受け、現在の軌道はわずかに変化し、双曲線軌道となっています。このため、ゆくゆくは太陽系の外に出て行き、二度と戻らないと推測されます。

 これはぜひ記録しておかなくてはなるまい。

紫金山・アトラス彗星を探せ!

 10月13日。東京は昼間から良く晴れて空気も澄んでいた。これは期待できる! ということで、日没の時刻を見計らって西の空が開けたビルの上に登り、カメラをセットする。まずは彗星がどこにいるのか見つけなくてはならない。

東京の夕焼け空

 日没直後の午後5時。低い位置に雲が少しあるが大丈夫だろう。
 

東京のマジックアワー

 日没から約25分が経過したがまだ空は明るく、金星がかろうじて見えているくらいだ。きれいな夕焼け空のグラデーションが見られた。

 最初は本命の100-400mm望遠ズームを取り付けてみたが、まずは広い範囲から彗星がどこにいるか探さなくてはならないので、24-120mmの標準ズームに付け替えた。
 

紫金山・アトラス彗星と東京の夕景

 さらに20分が経過した午後5時45分過ぎ。もうかなり時間が経過していてだんだん焦りはじめていた。この日の彗星の高度はほぼ金星(左端の明るい星)と同じくらいだからまだ沈んではいないはずだが…… と思ってシャッターを切ってはポストビューで彗星を探していたとき……

 画面に右の方にうっすらとそれらしい姿が映っている! これが紫金山・アトラス彗星に違いない!

東京の街灯りにも負けない紫金山・アトラス彗星

 カメラの中にようやく彗星を見つけたが肉眼ではなかなかその姿は見えない。しかし一度見つけてしまえばカメラのファインダーの中にはくっきりとその姿が浮かんでいる。

紫金山・アトラス彗星と東京の夕景

 東京の街灯りと夕焼けの残るオレンジ色と、ブルーアワーから本格的な夜空へ移りゆく空の色の中に尾を引く彗星の姿が美しい。さっきまで見つけるのに苦労していいたのが不思議なくらいだ。
 

紫金山・アトラス彗星と東京の夕景

 これが日没からほぼ1時間が経過した午後6時過ぎ。空の色合いや明るさ含めてこの日もっとも見頃だった時間帯だと思う。高度がかなり低いと言われていたが、それほどでもない。むしろ地上の風景と絡めやすくてちょうど良い感じだ。
 

紫金山・アトラス彗星と東京の夕景

 思っていたよりも尾が長くはっきり写っているので、縦バージョンもちゃんと押さえておいた。

 なお、写真にはこれだけ写るのにやっぱり目では見えなかった。
 

紫金山・アトラス彗星と東京の夜景

 その後も粘ってずっとシャッターを切り続けていたが、高度が下がるとともにやはり空気の影響を受けて霞んできたのか、姿がぼんやりしてきた。空は暗くなって条件は良くなっているはずなのだが。
 

紫金山・アトラス彗星と東京の夜景

 午後6時15分過ぎ、このあたりが都内では限界だろうか。

 ということで仕上がりはともかく、久々の大彗星の姿を自分の手で撮ることができたし、宇宙のロマンを感じることができてとても満足だ。

番外編:失敗したタイムラプス動画

 翌日10月14日。彗星の高度はさらに上がってより観測条件は良くなっているということで、再度挑戦してみた。しかし静止画はもう十分なのでこの日はタイムラプス動画撮影に挑戦してみた。

 その結果がこれだ。動画のタイトルにもつけたとおり正直言って失敗している。タイムラプス自体はそれなりに撮れているが、肝心の彗星がうっすらとしか見えていない。

 カメラの設定がいい加減すぎただろうか? 特にISO感度の上限値を高くしすぎてノイズに埋もれてしまったのが失敗だったかな?と思っている(設定詳細はYoutubeの概要欄に書いておいた)。

 ニコンZのタイムラプス機能は非常にすぐれている(特に露出平滑化機能)とのことで、こんな上がりが限界なはずはないので、遅ればせながらタイムラプス撮影機能をもっと勉強しなくてはならない。次にまた急にタイムラプスを撮りたくなったときのために。
 


 

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