去る11月27日は、PENTAXブランドの基礎を築くこととなった旭光学工業合資会社が設立されてから、ちょうど100年目の記念日だった。当日には何か大型発表や大イベントが開かれるかと思えば、まったくそんなことはなく、普通の一日として何事もなく過ぎ去っていった…。リコーイメージングは何とも奥ゆかしい。
そんな中、なぜかTwitterのタイムラインの中では、ペンタキシアン遍歴の告白が流行っていた。その流れに乗っかって、私自身のペンタキシアンになってからの約10年分の遍歴をこの際まとめておくことにした。なお、カメラボディだけでレンズのことは割愛する。
K-7
自分にとって最初のペンタックス体験となった記念すべきカメラはこれだ。2009年6月に買って2015年5月頃まで所有していた。
このカメラには使ったことがある人にしか分からない魅力がある。店頭デモ機のシャッターボタンを押した瞬間に、私はペンタキシアンへの沼に落ちたと言っても過言ではない。
このカメラについての思いは、すでに記事にしたので↓こちらを読んで欲しい。
K-x
K-7のサブ機としてK-xを買った。2010年10月に手に入れてから、多分2012年の中頃まで使っていたと思う。このK-xはデジタルのKマウント機では飛び抜けたセールスを記録したと噂されている名機だ。
業界の度肝を抜いた100色カラバリ展開。そしてレンズキットで39,800円と激安で買えたと記憶している。さらにK-7を遙かに凌ぐ高感度性能を持っていた。そりゃ売れるわけだ。
当初はレギュラーのパンダカラーを買ったが、その後グリップだけイエローに交換してもらった。そしてこのカメラ専用にDA35mmF2.4ホワイトも使っていた。超かわいくて良いカメラだった。
K-5 Limited Silver
続いて2011年3月にK-5 Limited Silverを手に入れた。このカメラは今は友人に貸したままになっているが、一応まだ手放してはいないつもりだ。
K-5自体は2010年暮れに発売されたが、Silverボディが出るまで数ヶ月、じっと我慢して待っていたことを思い出す。
K-7の反省とK-xの経験を生かし、高感度性能が当時トップクラスと言われるまでに改善され、隙のない超優等生なカメラだ。
APS-CのKシリーズでは、マイナーチェンジ版のK-5IIsこそが最高の一台と言われることがあるが、残念ながらそっちは使ったことがない。それはこのK-5にほとんど不満がなくて惚れ込んでいたからだけではなく、K-5 IIシリーズにはシルバーボディがとうとう出なかったからかも知れない。
K-30 Silky Green
K-5のサブ機としてK-xと入れ替えに手に入れたのがK-30だ。2012年12月から2015年5月まで使っていた。
受注生産品のSilky Greenを発注した。K-30に用意されたカラーの中で、この色が個人的には最高だったと思う。むしろこの色に惚れてK-30を買ったようなものだ。独特の造形と相まって、本当に格好いいカメラだった。
K-xの流れを汲む普及機でありながら、ガラスプリズム製の100%視野率ファインダーを積んでおり、サブ機と呼ぶには出来過ぎのカメラだった。
手放して後悔しているカメラという意味ではこれが一番後悔している。中古でもこの色は二度と手に入れられそうもないし、取っておけば良かった…。
K-3 Premium Silver
K-5の後継機として買ったのがK-3 Premium Silverだ。発売は2013年11月。これもK-3のレギュラーモデルから1ヶ月遅れで発売されるのをじっと我慢して待って手に入れた。この頃はとにかくシルバーボディにこだわっていたのだ。
シルバー仕様のバッテリーグリップ付き。電池も2個入っていたし専用ストラップまで付いていたと思う。
外観がそっくりなわりにK-5に比べてエンジンもメカも一新され、いろいろ進化し今風なカメラに仕上がっていたが、結構癖が強い面もあって、使いこなすのに苦労した記憶がある。
この後に渋いガンメタリックカラーのPrestige Editonが出たときには悔しい思いをした。シルバーボディへの情熱はあのガンメタのK-3を見たときに消え失せたような気がする。
K-3 II
そして2015年の春、K-3のマイナーチェンジ版であるK-3 IIに乗り換えた。もはやボディ色へのこだわりはなく、普通のブラックボディだ。
この時、後にK-1と名付けられることになるフルサイズ機の開発がアナウンスされていたが、APS-C機はいずれにしろ必要だと思っていたので、長く使うつもりで手に入れた。
Kマウント機として、現時点においても動体撮影性能の面ではこのカメラが最高峰だと思う。だからK-1を手に入れてからもずっと残しておいたのだが、結局いろいろあって2018年初頭に手放してしまった。
その後紆余曲折を経て、今このK-3IIの代役はNikon D500が担っている。D500は本当にすごい。残念ながら動体撮影に関してはK-3 IIでは歯が立たない。
K-1
そしてK-1が登場した。忘れもしない2016年4月末。発売日に手に入れ、その後Mark IIへのアップグレードも施してK-1改となり、3年半以上経った現在もメインカメラとして使っている。
このカメラはこれまでの人生で手にした中でダントツで最高の一台だ。もう完全にこのカメラでしか写真が撮れない身体にされてしまったと感じている。メーカーには責任を取って欲しい。
だから正常進化版の後継機を期待しているが、いつになるか分からないし、そもそも出るのかどうかも分からない。でもまぁKマウントのフルサイズ機がここで打ち止めになっても構わない.. というか仕方ないと覚悟はしている。このK-1改は5年でも10年でも使い続けるつもりでいる。
K-1 Mark II
K-1のマイナーチェンジ版が2018年5月に出た。これも発売日に手に入れて、一時期はこちらをメイン機にして、オリジナルのK-1はサブ機に回して休ませていた。
でも結局フルサイズ機2台は自分には使い回せないと悟った結果、まだ付き合いが短くて情が移っていないMark IIのほうを手放してしまった。ほぼ同じカメラなのに、やっぱり手触りが違うのだ。いや、ホントに。
しかし、もしこのままKマウントのフルサイズ機の新型が出てこないようなら、いつかの時点で再度Mark IIの新品を抑えておかないといけないかも?とちょっと心配している。
LX
K-1を手に入れて一端のペンタキシアンを気取っていた自分にとって、小さな心残りというかコンプレックスだったのは、フィルム時代のKマウントを経験していないことだった。だからKマウントの黄金時代を追体験すべくLXを買った。
ちなみに”LX”はローマ数字で”60″を表しており、旭光学60周年を記念したカメラであるというのは有名なウンチクだ。
新宿の中古カメラ屋さんで、15,000円という激安出ていたのを発見し、衝動買いしたというのが実は正しい。外装はわりとボロボロで、ファインダの取り外し機構が壊れているが、写真はちゃんと撮れる。
と言ってもフィルムを通したのはほんの数本だけ。でもそれで良いのだ。たまに取り出して空シャッターを切ってその手触りを楽しむだけで、精神安定剤になる。自分はKマウントの最高級機を持っているのだ!と。
Qマウント
あと忘れてはいけないのがQマウントだ。2011年夏に登場したPENTAX初のミラーレス機。auto110の再来と言われる超小型機で、初代のQは1/2.5インチセンサーを積んでいた。
初代Qについては、Limited Silverが出るのを待って買った。マグネシウム合金のボディを持つ初代Qは超格好良かった。その後プラボディ化されたQ10はパスし、センサーが1/1.7インチに大型化されたQ7を買った。そして2016年にはすでにQマウント終了の気配が漂う中、動態保存する意味でQ-S1も手に入れた。
残念ながらこのシステムは今後新製品が出ることはないようだ。でもレンズ類はコンプリートして、ボディはQ7とQ-S1を残してある。
Optio Wシリーズ
さらにPENTAXのコンパクトカメラも使っていた。主にスキー中に写真を撮るための防水機だ。PENTAXはこの分野では老舗だし、今でもRICOHブランドになって細々と続いている。
一番最初にこのシリーズを買ったのは、実はK-7よりも前の2008年のことでOptio W60だ。その後もだいたい2〜3年おきに買い換えをしてOptio W90、WG-3 GPSを手に入れた。しかしその後、GPSなど全部入りのハイエンド機から撤退してしまい、最近はオリンパスのTGシリーズに移行してしまったところだ。
W60とW90はもうない。中でもW90はやや変わった経緯で手放した。WG-3 GPSは使っていないが残っている。売却するのが面倒だっただけで使う予定はないが、PENTAXブランド最後のWGシリーズと言うことで、このまま保存しておこうと思う。
次のPENTAXは…?
ということで、いまはK-1改だけあればいいみたいな状態になっているが、次の新製品にも期待している。カメラ市場は縮小し、その中でも特に一眼レフはオワコン化している中で、本当にKマウントの新型は出てくるのだろうか?
いずれにしても、この10年の間に完全に洗脳された敬虔なペンタキシアンとしては、これがどんなカメラであったとしても買わなくてはならないという使命というか運命を感じている。
そのスペックや完成度に狂喜乱舞するのか、ずっこけるのかはもはや問題ではないのだ。
以上を持って、私からのPENTAX100周年に対するお祝いの言葉とさせていただこうと思う。