祝HD化!リニューアルされたFA Limitedレンズは31mmから始める

2022-02-17

 今ごろかよ!という突っ込みはさておき。

 Kマウントの名物レンズ、FA Limitedシリーズ3本がまさかのHD化を果たしたのは約1年前のことだ。リークが少しずつあったもののCP+で本当に登場した時には驚いたものだ。それやるんだ!しかも今(さら)やるんだ!と。

 変更点としては、コーティングがsmcからHDになり、前玉にSPコーティングが追加され、円形絞り化されている。しかし現代的なデジタル時代のレンズに生まれ変わったわけではない。基本的なレンズ構成は変わらず、AF駆動はボディ内モーターでQFSにも対応していない。絞りリングは残されたままでWRでもない。

HD FA31mmF1.8 Limited Silver on K-1 Mark II Silver Edition

 でも欲しい!すでにsmc版でFA Limitedは3本とも持っているのだが、HD版も3本とも欲しい! でも…… 昨年は新レンズも多く優先度は下げざるを得なかった。

 ということで、年が明けて気分一新、幸か不幸か新製品の話もしばらくなさそうなので、遅ればせながらそろそろHD版 FA Limitedを揃えていこうではないか。
 

HD FA 31mmF1.8 Limited (S) と smc FA 31mmF1.8AL Limited (B)

 最初の1本目はFA Limitedの中で一番好きな31mmというのは決めていたから迷いはなかった。しかし色は大いに迷った。迷った末、smc版はブラック鏡胴なのでHD版はやはり色違いのシルバー鏡胴にした。

 外観は本当に変化がほとんどない。レンズ先端外周部に掘られたレンズ名の先頭が”HD”になっているくらいだ。あと細かいこと言うと非球面レンズ使用を表す”AL”表記もなくなっているが、先にも書いたとおりレンズ構成が変わったわけではない。命名ルールが変わっただけだろう。

 ちなみに七宝焼きの色もかなり違っているが、これは七宝焼き自体の個体バラツキでHD版だから変わったわけではないと思われる。これも最近いろいろな事情で青っぽくなっていたものを昔の色に戻すよう努力した結果だそうだ。
 

HD FA 31mmF1.8 Limited(S) on K-1 Mark II Silver Edition smc FA 31mmF1.8AL Limited(B) on K-1 Mark II Silver Edition

 シルバーボディにブラックレンズの組み合わせも締まりがあってとても格好イイので気に入っているのだが、やはりこのくらいのサイズのレンズだとシルバー尽くしでもそれほどクドくなくて格好イイ。

 なお、HD版と入れ替えにsmc版を手放す予定は今のところない。コレクション的な意味も含めて取っておこうと思っている。今のところは……
 

HD FA31mmF1.8 Limitedとsmc FA31っmF1.8AL Limitedの前玉側

 前玉側から覗き込んでみる。絞りリングで両方ともF2.8に設定してみると絞り形状の違いがよく分かる。なるほど、これが円形絞りか。なおF3.5まではだいたい円形を保つらしい。

 あと、これは偶々なのかよく分からないのだが、うっすら反射するコーティングの色が違う。色だけじゃなくて反射量も違うだろうか? HD版の方が暗く沈んでいてコーティングの反射率が低いとはこういうことか!と思ってしまうが、実際のところはよく分からない。ちなみに左右の位置を変えても特に変わりはなかった。
 

HD FA31mmF1.8 Limitedとsmc FA31っmF1.8AL Limitedの後玉側

 後玉側も同じような傾向だ。やはりコーティングの差が現れているのだろうか?

 なお、smc版は”ASSEMBLED IN VIETNAM”と刻印されているが、HD版は”MADE IN VIETNAM”となっている。生産体制はここ数年いろいろ変更があったようなので、これは表記だけでなく実際にベトナム工場への依存度が変わったのだろうと想像する。もちろん、だからどうってことはない。
 

PENTAX Limitedレンズ

 ということで、手持ちのLimitedレンズを並べてみた。FAだけではなくDFAとDAも含んでいる。いつの間にかシルバー優勢になってきた。そろそろ反動が来そうで怖い。
 

少し作例

 さっそくK-1 Mark IIに取り付けて撮ってみたので何枚か貼っておく。

夕空PENTAX K-1 II SE, HD FA31mmF1.8 Limited, f4.0, 1/500sec, ISO100
 夕暮れの空。
 

ヴィンテージ紫陽花PENTAX K-1 II SE, HD FA31mmF1.8 Limited, f2.0, 1/500sec, ISO100
 ヴィンテージ紫陽花。ザワザワしがちな背景のボケも綺麗だ。
 

KIBACOPENTAX K-1 II SE, HD FA31mmF1.8 Limited, f2.0, 1/400sec, ISO100
 中距離のボケ具合を試したくてすごく適当なものを撮ってみた。この広角っぽいパースがあるのにがっつり柔らかくボケる感じが好きだ。屋根のエッジとか緑色だけど。
 

冬の木PENTAX K-1 II SE, HD FA31mmF1.8 Limited, f8.0, 1/640sec, ISO100
 冬の木と曇り空。白黒にしてしまった。

 太陽は薄い雲に隠れているのでそんなに悪い条件ではないのだが、まぁこのくらいの逆光は当然のように何でもない。HD版だからと言うことではなくsmc版でも問題ないだろう。

 設計も古いし、ものすごくカリカリで高解像なレンズでは決してないのに、こういう木の枝とか葉っぱとか細かいテクスチャのものを撮ると繊細に写るところが31mmのいいところだと思う(ただし絞った場合)。
 

梅にメジロPENTAX K-1 II SE, HD FA31mmF1.8 Limited, f2.8, 1/800sec, ISO100
 咲き始めた梅を撮っていたらメジロがやってきた。人慣れしているらしくて31mmでもこのくらい近い。300mmとか持っていたらどアップで撮れたか、フレームもピントも定まらず撮り逃したか? 多分後者だろう。
 

橋の下PENTAX K-1 II SE, HD FA31mmF1.8 Limited, f8.0, 1/25sec, ISO100
 橋の下をくぐる道路。

 31mmを取り付けたK-1/K-1 IIはジェネリックGR的にも使える…… ような気がしている。スナップにも風景にも、そして寄って絞りを開ければボケに頼ることもできる。F5.6位まで絞るとフリンジもほとんど出ず、カッチリとした写りでシャープネスという点では最新のレンズとそう簡単に見分けは付かない。絞りで描写が変化するという点ではやはり古くさいレンズなのは間違いないのだが。

 HD版になって何か変わったかと言われたら正直なところまだよく分からない。保護フィルターは付けない派なのでHDコーティングよりもSPコーティングの方が恩恵が大きいかも知れない。

 一方で今の時点でちょっと感じている差と言えば、もしかして発色の傾向が変わっているのではないか?という気がしている。smc版はわりとコッテリ色乗りが良い一方で、渋い発色をすることがあると感じていたのだが、もしかしたらHD版はその辺今風でスッキリとしたデジタル向きなバランスを持ってるような印象がある。第一印象に過ぎず気のせいかも知れないのだが。おいおい確認していくことにしよう。

 さて、冒頭ではHD版は3本とも欲しいと書いたが、正直なところ43mmは画角的に今ひとつ仲良くなりきれていないし、77mmはsmc版がとても気に入っている上に、HD版になるとわりと描写が変わると言われていてちょっと悩んでいる。まぁ、どちらも試してみないことには何とも言えないわけで、いずれは手を出すことになるのだろうと思う。
 


 

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