smc PENTAX FA77mmF1.8 Limited を K-3 Mark III で使ってみる

2021-05-27

 さて、PENTAX K-3 Mark IIIに合うレンズを探すべく、これまでのところ smc FA43mmF1.9 Limitedsmc FA31mmF1.8AL Limited を使ってみた。となれば、やはり次は smc FA77mmF1.8 Limited も試してみなくてはなるまい。

 広角や標準域と違って、望遠域のレンズになるとAPS-Cで使ってもある程度使用感は似通ってくる。とはいえ、77mmのこのレンズもK-3 Mark IIIでは116mm相当の画角となり、中望遠とは言えなくなったりする。

 しかしこのレンズも元々はK-5時代に手に入れたもので、APS-Cで使っていた時代があったのだ。その感覚を思い出そう。

タンポポの綿毛PENTAX K-3 Mark III, smc FA77mmF1.8 Limited, f2.5, 1/1000sec, ISO100, -2.0EV
 タンポポの綿毛。ハイライトの表現が得意なFA77mmにはぴったりな被写体ではないかと思う。

 そんなに近接に強いレンズではないが、クロップの効果のおかげか、こういう場合でもわりと良い感じに撮れる。
 

青い紫陽花PENTAX K-3 Mark III, smc FA77mmF1.8 Limited, f2.0, 1/800sec, ISO100, 0EV
 間もなくあじさいの季節がやってくる。

 それにしても相変わらずボケが綺麗だ。円形絞りじゃないのにその影響もあまり感じられない。
 

緑PENTAX K-3 Mark III, smc FA77mmF1.8 Limited, f2.0, 1/4000sec, ISO100, -2.0EV
 名前を知らない緑色の草。薄い黄緑色で瑞々しくとてもきれいだった。

 うん、ボケが綺麗だ(2回目)。当然ながらこういう被写体はAFが迷う。シングルAFポイントにしても迷う。MFにするのが正しいのだろうが、数打ちゃ当たる作戦で適当にシャッターを切った。K-3 Mark IIIの改善したAFはそういうずぼらな使い方にも応えてくれる。
 

木場公園のカフェPENTAX K-3 Mark III, smc FA77mmF1.8 Limited, f2.0, 1/2000sec, ISO100, -1.0EV
 公園に出来たカフェの看板。草花だけでなく人工物も撮ってみなくてはと急に思い直した。

 雰囲気はとても気に入ってるのだが、色収差がバリバリ出ている。が、全然気にならない。いや「全然」は言い過ぎだろうか。「あまり」気にならない。それより色艶と立体感とボケ味の美しさが勝っている。
 

木場公園大橋と東京スカイツリーPENTAX K-3 Mark III, smc FA77mmF1.8 Limited, f11, 1/125sec, ISO160, 0EV
 新緑の向こうに聳える東京スカイツリー。都立木場公園からのおなじみの景色だ。

 大口径の望遠レンズだからと言って、ボケが綺麗だからと言ってボカすばかりでは飽きてくる。心を鬼にしてこれでもかと絞ってみた(といってもf11)。他のFAリミテッドレンズ同様に、絞ると本当にキリッとする。K-3 Mark IIIの高画素/小画素ピッチセンサーにも負けていない。
 

葛西橋通りを走るトラックと東京スカイツリーPENTAX K-3 Mark III, smc FA77mmF1.8 Limited, f16, 1/80sec, ISO100, 0EV
 雑然とした下町の街角、工事現場と走り去るトラック。そんな殺風景な中にも東京スカイツリーは顔を出す。格好イイ。

 スナップを撮るにはかなり長いが、望遠好きであれば何とかいけるのではないかと思う。いや、こういうの結構良いかもと思えてきた。
 

青い水道管と東京スカイツリーPENTAX K-3 Mark III, smc FA77mmF1.8 Limited, f4.0, 1/2000sec, ISO100, 0EV
 またもや東京スカイツリー。どんだけ好きなんだ? 好きだから仕方がない。

 今度は中途半端に絞りを開けてみる。肝心のスカイツリーはうっすらボケてしまった。こんなことならもっと絞り開ければ良かった。

 そして実のところこんなに周辺光量は落ちない。開放から2段以上絞ってるしAPS-Cで使うからなのだが、そこがちょっと寂しい。なのでLrで現像時に光量落ちをわざと足してしまった。
 

大横川のクラゲPENTAX K-3 Mark III, smc FA77mmF1.8 Limited, f5.0, 1/200sec, ISO100, -0.7EV
 小さな魚の群れとミズクラゲ。水運の役目はほぼ終えたこの一帯の運河。海が近く潮の満ち引きの影響を受ける汽水域だ。

 昔はヘドロまみれの鼻を摘まみたくなるような水質だったが、生活排水が規制されるなどしたためか、ビックリするくらい綺麗になっていて驚く。こうして小さな魚がたくさん泳いでいるからこそ、野鳥たちも増えてきたのだろう。
 

自転車のカゴのフレブルPENTAX K-3 Mark III, smc FA77mmF1.8 Limited, f2.5, 1/1600sec, ISO100, -0.3EV
 自転車のカゴに揺られる黒フレブルさん。かわいい。
 

バイクPENTAX K-3 Mark III, smc FA77mmF1.8 Limited, f2.0, 1/1000sec, ISO100, -1.0EV
 新緑の木陰に停められたバイク。

 ハイライト番長となれば、金属の質感とか得意かと思ったのだがもう一息ツヤが欲しい。まぁ、さっと適当に撮ったのでいろいろ詰めが甘いせいだろう。あと、このくらいの距離感だとやはりボケに輪郭がついてしまうあたりは古いレンズであることを思い出させてくれる。
 

PENTAX K-3 Mark III +FA77mm

 フィルター径はわずか49mmほどだが、前から覗き込んだときのガラスの塊感がすごい。眺めているだけでもウットリする。

 そしてFAリミテッドシリーズの中ではこのレンズの写りが一番好きだ。いやFA31mmも捨てがたいのだが思うように撮れることが少ない。それに対してFA77mmは思った通りに撮りやすい。古くささもネガな部分も含めて、なんか好きなのだ。

 そしてK-3 Mark IIIともとても相性は良いと思う。正確で素早いAF、高画素センサー、最新の画像処理は決して「味わい」を消し去ったりしてない。むしろ浮き立たせてくる。画角的にちょっと長すぎるかな?と思ったが、わりと使いやすく、K-1 Mark IIで使うときとの感覚とそんなに大きくズレはないと思う。
 


 smc版で十分に気に入ってるせいか、HD版への期待が一番薄いレンズでもある。とある写真家の方は「ヌメッとした写りのsmc版の方が好きだ。HD版はクリアになりすぎた」と評価していた。ヌメッとした写りがなんなのか、実感がないのだがHD版と比べて見ると分かるかも知れない。なので、やっぱりHD版もいつかは欲しいと思っている。
 

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