smc PENTAX FA31mmF1.8AL Limited を K-3 Mark III で使ってみる

2021-05-20

 smc FA43mmF1.9 Limited に続いてK-3 Mark IIIに取り付けて試してみたのは smc FA31mmF1.8AL Limited だ。これは3本あるFA Limitedの中でも最もお気に入りの1本で、いろいろ紆余曲折があって2回も買い直し、現在持っているのは通算3本目だったりする。

 フルサイズのK-1登場で蘇ったレンズだと勝手に思いこんでいるが、考えてみたらK-1登場の前からずっと使ってきて好きだった。特にK-7に組み合わせて使っていた初期の頃の感動を思い出す。

PENTAX K-3 Mark III + smc FA31mmF1.8AL Limited

 K-3 Mark IIIに取り付けて、久しぶりにAPS-Cで使ってみることで、初心を思い出せるだろうか?
 

緑の紅葉PENTAX K-3 Mark III, smc FA31mmF1.8AL Limited, f2.8, 1/400sec, ISO100, +1.0EV
 梅雨前の新緑。こいいうテクスチャ系の画像はiMacの壁紙にしても良いかも(した)。

 わりとドン曇の日だったのだが、オーバー目に撮るとなんか良い感じになった。晴天よりは明暗差が弱かったおかげだろう。多分「※個人の感想です」案件なのだと思うのだが、何となくFA31mmはこうした明るくコッテリした感じが合うと思っている。

 でも一方で、現代的なニュートラルな鮮やかさがあるわけではなく、ちょっと渋めの発色を感じることもある。
 

ピンクのバラPENTAX K-3 Mark III, smc FA31mmF1.8AL Limited, f2.0, 1/1600sec, ISO100, 0EV
 ピンクの薔薇。花言葉は… 知らない。

 APS-Cで使うと約47mm相当の標準レンズとなる。K-1で使うと開放付近で周辺光量落ちが良い感じに出るのだが、APS-CにクロップされるK-3 Mark IIIではそういうことはない。なので、現像時に敢えて光量落ちを加えたくなる。これはK-7/K-5時代にはなかった感覚だ。
 

橋の下PENTAX K-3 Mark III, smc FA31mmF1.8AL Limited, f5.6, 1/60sec, ISO640, 0EV
 ツタが絡みフジツボが生えた橋の下。良く見るとゾワゾワ来る…

 このレンズはFA Limitedらしからぬカッチリしたシャープさがある優等生… とよく言われるのだが、実はそのへんはあまり良くピンときていない。むしろ、条件や設定によってクルクルと描写が変わるじゃじゃ馬レンズだという印象だ。

 逆光で激しいゴーストやフレアが出ることはよく知られている。HD版ではそこそこ改善してるそうだが、最新レンズのように完璧ではないだろう。
 

小舟の舳先PENTAX K-3 Mark III, smc FA31mmF1.8AL Limited, f4.0, 1/800sec, ISO100, 0EV
 小船の舳先。撮りながらもう少しで水に落ちるところだった。

 ふといた瞬間にキリッとした絵が撮れるのは確かに他の2本にはない感じかも知れない。特に絞った場合、F4.0でかなり落ち着いてきてF8.0までいけばキリッとする。

 しかし無限遠のバーンと開けた風景でもない限り、絞るのはなかなか勇気が要る。せっかくの大口径レンズで、せっかく今どきのレンズにはない収差バリバリの絵が楽しめるのに… とケチくさいことを思ってしまう。
 

ボートPENTAX K-3 Mark III, smc FA31mmF1.8AL Limited, f1.8, 1/3200sec, ISO100, 0EV
 並んだ無人のボート。

 50mmに近い画角でファインダー像は明るくボケが大きいので、K-1 MarkIIでDFA★50mmF1.4を使ってるかのような感覚に陥ってしまう。倍率が高いK-3 Mark IIIのファインダーのせいもあるかもしれない。

 しかしそれは半分くらい錯覚で、実焦点距離はあくまでも31mmなので思ったほどボケないし、ピント面もしゃっきりしないし、軸上色収差だろうか?ボートを縁取る緑の太いラインは、Lightroomのフリンジ補正を使っても消しきれない。そして、しまったファインダーに騙された、と反省するのだ。
 

ネモフィラPENTAX K-3 Mark III, smc FA31mmF1.8AL Limited, f2.0, 1/320sec, ISO100, +1.0EV
 いまさらネモフィラ。撮り方もワンパターンだが、小さな花壇で寄ってアップにするしか手がないので仕方がない。

 距離と被写体の問題もあるが、ほんの0.3段絞ってF2.0にするだけで、映像のクリーンさは劇的に変わる。そうだ、何となくこの辺は体感で分かっていたのだ。K-7時代からの過去写真を見てもF2.0で撮ってることが多かった。

 ただしちゃんとピントが合ってることが条件だ。少しでもずれたときのペナルティはこのレンズが一番大きいように思う。ただしK-3 Mark IIIのAFとの相性はとても良い。

 K-7/K-5ではとにかくピント合わせが大変だったが、K-1 Mark IIでかなり良くなった。K-3 Mark IIIはそれよりもさらに良い。K-1 Mark IIも最近のF/WアップデートでK-3 Mark III並になってることを期待したい。
 

柳PENTAX K-3 Mark III, smc FA31mmF1.8AL Limited, f2.0, 1/640sec, ISO100, 0EV 
 柳。この一帯は江戸時代から柳の木が多い。

 うん、F2.0がやっぱり良いのではないだろうか。このくらいなら円形絞りでなくてもボケは量があることもあって十分に綺麗だ。開放にしたくなる気持ちをグッと堪えて、今後も1/3段分絞って使うことにしよう
 

 なおPENTAX officialでもK-3 Mark IIIとFA31mmの組み合わせはお勧めされている。コーティングのことはさておき。

 そうか、街角スナップには50mm相当くらいの画角はちょうど良いかもしれない。そういう写真の場合はなるほど… やっぱりちゃんと絞るのか。

 K-1ではFA31mmだけで旅行に行ったこともあって、スナップでも何でもこなせることは分かっているが、そう言えばK-7/K-5時代にはそういう使い方をした記憶がない。でも確かに50mm相当一本だけというのも良いかもしれない。今度チャンスがあれば試してみようと思う。
 


 なおHD版を買うならこれがやはりFA31mmが一番気になる。smc版は手元に残しておいて、HD版のシルバーが欲しいと思っている。時間の問題ではあるのだが、うーん、どうしたものか…。
 

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