季節が急ぎ足で進み東京では河津桜が最盛期を迎えた3月上旬、春に向けたカスタムイメージSpecial Edition「春紅」がリリースされた。昨年の夏から始まった季節ごとに最適化した4つのカスタムイメージSpecial Editionシリーズの中では最後となる。
さて、タイトルでは「桜を写すため」と書いたが、実際のところどういうコンセプトなのだろうか?
詳細は↑このページに作例とともに解説されているが、やはり「桜」が意識されているのは間違いない。
「鮮やか」と比べ、「春紅(HARUBENI)」では調色で赤色を足すことで、花びらの薄い紅色の青い色味が抜けて赤色を繊細に表現。さらに、コントラストを高めにすることで、花びらの柔らかそうな触感の雰囲気を残しつつも、めしべなどの中心部をよりはっきりと表現することで、花のメリハリが出て、立体感が増した表現となっています。
赤系の色が強調されているという辺りは分かりやすいが、コントラスト高めでメリハリ重視というところはやや意外だった。桜というとふんわりハイキーという思い込みがあるからだろうか。なるほど、そう来たか。
なお今回の「春紅」の対象レンズはHD FA77mmF1.8 LimitedとHD DA20-40mm F2.8 ED Limited DC WRだ。ということで、先日手に入れたばかりのHD FA77mmF1.8 Limitedを使って試してみた。
K-1 Mark IIのカスタムイメージ「春紅」の設定画面。アイコンの桜マークがかわいい。
全体的に色は濃く、コントラストが細かく調整されている。そして調色でレッドが足されているところがポイントだろうか。なお詳細設定からこの調色をいじることももちろん出来る。
ではさっそく撮ってみよう。
PENTAX K-1 II SE, HD FA77mmF1.8 Limited, f1.8, 1/2500sec, ISO100
なるほど、確かに桜の色味が濃く、特に中心部がはっきりとしてメリハリがある。青空は鮮やかというよりちょっと渋めで、緑は特にあっさり薄めに感じられる。
以下には同じカットを従来のカスタムイメージの中から代表的なやつを使ってボディ内現像したものを貼っておく。
左上が「鮮やか」、右上が「雅」、左下が「フラット」、右下が「リバーサル」だ。
こうして見ると、桜の色に関してはもともと濃いめの発色をする「鮮やか」や「雅」などよりも「春紅」のほうがさらに濃いと感じる。調色が効いているのかもしれない。さらに色が濃くてコントラストが高めな「リバーサル」と比べても負けないくらいメリハリがある感じだ。
サイドバイサイドで比較できるように並べてみた。左が「春紅」で右が「鮮やか」だ。こうして見るとものすごく違うし、ホワイトバランスの問題か「鮮やか」はちょっと青過ぎるような気がしてくる。
いずれにしても全面を桜のピンク色が覆うような状態だと「春紅」はかなり赤味が強調される。ほとんど白に近いソメイヨシノだとちょうど良くなるのかもしれない。
では桜以外の黄色や緑や青はどうかというとこんな感じだ。同じく左が「春紅」で右が「鮮やか」だ。一転して今度は「春紅」のほうが渋くなるし、調色で赤が乗っているのが良く分かる。
なので、一面桜だらけみたいなシーンより、ほどよく他の色のものが混ざっていると、より赤系の色が強調されてそれっぽくなるのかもしれない。
ということで、以下はその他適当に撮ってみた写真を貼っておく。
PENTAX K-1 II SE, HD FA77mmF1.8 Limited, f5.6, 1/160sec, ISO100
PENTAX K-1 II SE, HD FA77mmF1.8 Limited, f2.8, 1/2000sec, ISO100
色の違う河津桜。2枚目は特に濃い色をしている。コントラストが高めなので、日差しがあるときは余計に硬くなりすぎるような気がする。引きの場合は少しコントラストを下げたくなるかもしれない。
PENTAX K-1 II SE, HD FA77mmF1.8 Limited, f2.8, 1/1250sec, ISO100
だいたい良い感じなのだが、ボケが塗りつぶされた感じになったりするとどぎついかもしれない。
PENTAX K-1 II SE, HD FA77mmF1.8 Limited, f2.8, 1/1000sec, ISO100
散った河津桜。軸ごと落ちているのはスズメか何かの鳥に食いちぎられたやつだろう。逆にこうしてコントラストの高さを利用してしまうとか。春っぽいかどうかは分からないが。
PENTAX K-1 II SE, HD FA77mmF1.8 Limited, f2.0, 1/8000sec, ISO100
河津桜も終わりを迎えているので梅なんて完全終了だと思い込んでいたが、今ごろ満開の白梅を見つけた。青空のこの感じとほんのり赤くなる白梅。ソメイヨシノもこんな感じに写るかもしれない。なるほどなるほど。
いきなり桜ではない緑の葉っぱを撮ってみた。新緑ではなくて、冬を越した常緑樹のようだが、春の日差しが差し込んでファインダーの中では明るいキラキラしたシーンだったのだが、仕上がりはなかなか渋い。
そこで調色を敢えてグリーンに変更してみたりするとどうなるだろうか?と思ってボディ内現像で「春紅」の調色だけグリーンに変更してみたのが右側だ。こうなるともはや「春紅」ではなくなるかもしれないが、そういう使い方が出来るようになっているということは覚えておきたい。
PENTAX K-1 II SE, HD FA77mmF1.8 Limited, f1.8, 1/2500sec, ISO100
一面黄色い菜の花畑。これも調色を敢えてイエローに変更して現像した。なんというか、ほとんど黄色一色なのでごくごく普通の菜の花の写真になってしまった(もちろん悪いことではない)。
とりあえず春の風景はすべて「春紅」で撮ってみて、赤すぎると思ったらあとで調色を変更するだけでもかなり仕上がりをがらりと変えることが出来て面白いかもしれない。
ということで「春紅」のお試しは以上だ。実のところまだピンときていなくて、何となくだがこれまでの夏秋冬と比べると一番使いどころが難しいような気がしている。それだけ尖っていて個性があるとも言えるのだが。
東京では気の早いことにソメイヨシノが咲き始めたらしいので、これからの春本番にもう少し使ってみようと思う。
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