浮世絵にも描かれた由緒正しい亀戸天神の藤が見頃を迎えている

2021-04-17

 桜の季節が終わると次にやってくるのは藤の季節だ。東京周辺の場合、いつもは4月末から5月にかけての連休あたりが見頃となるのだが、今年はだいぶ開花が早まっているらしい。

 藤の名所と言えば全国各地にあると思われるが、関東では栃木のあしかがフラワーパークを真っ先に思い出す。しかし我が地元の東京東部下町のど真ん中にも藤の名所がある。しかも300年前からずっと藤の名所として知られてきたところで、江戸時代に描かれた浮世絵もたくさん残っている。

 いつでも行ける近所であるが故か、ここ数年ご無沙汰していたのだが、もう咲いてるよという情報を聞きつけて先週の日曜日(4月11日)にどんな感じか様子を見に出かけてきた。
 

亀戸天神の藤と東京スカイツリーPENTAX K-1 II SE, HD DFA*85mmF1.4ED SDM AW, f4.0, 1/1000sec, ISO100, -0.3EV
亀戸天神の藤PENTAX K-1 II SE, HD DFA*85mmF1.4ED SDM AW, f2.0, 1/2500sec, ISO100, -0.7EV
 おぉ! もうこんなに咲いている! 早咲きの木はすでにほぼ見頃の最盛期か、その一歩手前と言っても良い状態だ。それにしてもまだ4月中旬にさしかかったばかりなのに。
 

亀戸天神の藤と東京スカイツリーPENTAX K-1 II SE, HD DFA*50mmF1.4 SDM AW, f4.0, 1/800sec, ISO100, +0.7EV
 そして亀戸天神と言えば東京スカイツリーのビューポイントでもある。藤棚とスカイツリーの構図はすっかりおなじみになってきている。ちゃんとスカイツリーの姿が分かるように絞ったけど中途半端だったかも知れない。絞りの選択は難しい…。
 

亀戸天神の藤と雲と青空PENTAX K-1 II SE, HD DFA*50mmF1.4 SDM AW, f1.8, 1/8000sec, ISO100, 0EV
亀戸天神の藤PENTAX K-1 II SE, HD DFA*50mmF1.4 SDM AW, f1.8, 1/2000sec, ISO100, 0EV
 見頃を迎えていたのは一部だけで、その他ほとんどの木はまだ5分咲き程度だった。あと一週間後(つまり今くらい)が最盛期かと思われる。

 色が薄いように思えるのはまだ咲きかけだからなのか、あるいはそういう種類なのか? というかこんな薄い色の藤がここにあったっけ? いや、話によると年によって結構色合いは変わるらしいという噂も聞く。本当だろうか?
 

亀戸天神の藤棚Nikon Z 5, NIKKOR Z 14-30mm f/4 S(14mm), f8.0, 1/400sec, ISO100, 0EV
 それにしてもこの日は良く晴れて、気持ちの良い藤の花見日和だった。個人的には桜よりも藤の方が「春」を実感する。
 

亀戸天神の藤棚と大樟PENTAX K-1 II SE, HD DFA*85mmF1.4ED SDM AW, f4.0, 1/1000sec, ISO100, -0.3EV
 亀戸天神は太宰府天満宮を本社としており、境内の様子は本家の太宰府天満宮を模している。池があり、太鼓橋があり、そして梅の木があって牛の像もある。そしてもう一つ、太宰府同様に樟の巨木もあるのだ。これが格好イイ。じつは亀戸天神で一番好きな部分だったりする。
 

亀戸天神の藤棚と池と東京スカイツリーNikon Z 5, NIKKOR Z 14-30mm f/4 S(17.5mm), f8.0, 1/320sec, ISO100, 0EV
 池に藤棚に樟と東京スカイツリー。後は太鼓橋が入れば亀戸天神要素は完璧だったがそうは上手くいかない。

 なお一昨年までは藤の開花に合わせて「ふじまつり」という催し(といっても、境内に屋台が出るだけ)をやっていたが、新型コロナ対策で今年はやっていない。だから参道は広々出し、藤の香りをたっぷり嗅ぐことが出来る。
 

亀戸天神の藤棚と赤い太鼓橋Nikon Z 5, NIKKOR Z 14-30mm f/4 S(27.5mm), f4.0, 1/640sec, ISO100, 0EV
亀戸天神の藤と赤い太鼓橋PENTAX K-1 II SE, HD DFA*85mmF1.4ED SDM AW, f2.0, 1/1250sec, ISO100, +0.3EV
 江戸後期の浮世絵師、歌川広重が描いた亀戸天神の太鼓橋と藤の花の風景はこの辺だろうか?
 

歌川広重 亀戸天神境内図

 ちなみにその浮世絵が↑これだ。(国立国会図書館「錦絵でたのしむ江戸の名所」より利用ルールに則って転載)

 広重はこれ以外にも亀戸天神を描いた作品を多数残しているし、他には歌川国貞なども描いていたりする、まさに江戸の名所だった。その時代の面影が現在にもこれほどはっきりと残っている場所は、東京にはほとんどないのではないかと思う。
 

上から眺める亀戸天神の藤棚Nikon Z 5, NIKKOR Z 14-30mm f/4 S(18mm), f8.0, 1/640sec, ISO100, -0.7EV
 今ある太鼓橋はかなり強烈な太鼓形状で、天辺はかなり高い。足を踏み外すと命が危ないと思えるほどだ。そのおかげで境内が見通せるだけではなく藤棚を上から眺めることが出来る。下から見上げるばかりだった藤を眼下に見下ろすのもなかなか新鮮な景色だ。
 


 ということで、一番の見頃はちょうど今日(4月17日)あたりなのではないかと思う。

 以前に訪れた時にしつこく書いた記憶があるのだが、亀戸天神の藤棚はここ10年くらいの間、かなり弱っているように見え残念に思っていた。木も歳をとるだろうし、気候やらなんやら色々な要因もあるだろう。しかし主には手入れに失敗して大幅な剪定を余儀なくされ、さらにその作業も上手く行かなかったらしいと地元では噂されていた。

 しかし、今年の印象としては、かなり盛り返して元気になってきたのではないか思う。香りも例年になく強く感じた。この調子で往年の見事な姿を取り戻して欲しいと思う。



 

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