新しいイヤホンを買った。
コロナ禍は続いているものの次第に社会活動は正常化しつつあり、外出する機会も増えてきた。特に在宅勤務に慣れた身には、他人の声やキーボード打音などで溢れるオフィスの騒音にはもはや耐えられない。
在宅勤務中に普及したオンライン会議をそのまま会社の自席でやる人は爆発してしまえと思う。ともかく、オフィスの環境はコロナ禍前よりも体感的に大幅に悪化していて、会社にいるとイライラが止まらない。あのノイズがいかに労働者の生産性を落としているのか会社の経営者や人事総務の人々は認識するべきだ。
なのでせめてもの自衛策として、ノイズキャンセリング機能付きのイヤホンまたはヘッドホンは切実に必須アイテムだ。
えーっと何の話だったっけ……?
MOMENTUM True Wireless 3 ゲット!
そういうことでゼンハイザーの新製品MOMENTUM True Wireless 3を発売日に手に入れた。
パソコンはMac、スマホはiPhoneで、iPadもApple Watchも使っているという程度に生活がApple製品に支配されつつある中、最後の防衛ラインがイヤホンだ(何と戦っているのか分からないが)。ともかくイヤホンだけはAir Podsではなく、ゼンハイザーのMOMENTUM True Wirelessシリーズをここ数年使い続けている。
小さくタフになったSENNHEISER MOMENTUM True Wireless 2 -酔人日月抄外伝(2020年5月20日)
前モデルのTrue Wireless 2は発売日後しばらく品薄で注文しても1ヶ月くらい待たされたので、今回は発表とほぼ同時に予約を入れて発売日に初期ロットを入手したのだが、どうやら今回はそんなに品薄にはならず、現時点で普通に買えるようだ。
電池入りの充電器とケースを兼ねたクレードル入りなのはこの手の完全ワイヤレスイヤホンの定石だが、True Wireless 3のクレードルはQi充電にも対応している(Qi充電器持ってないけど)。
なお電池寿命はイヤホン単独で連続7時間、クレードルを含めると最大28時間というスペックは旧型から変わっていない。新しくなった点はと言えば、デザインが一新され、少し小型化され、そして音質とアクティブ・ノイズ・キャンセル機能が大幅に強化されたことだ。
Bluetoothのコーデックはハイレゾ「相当」だと言うaptX Adaptiveに対応しているが、接続相手がいPhoneなのでAACしか使えない。宝の持ち腐れなのかも知れないが知らぬが仏だろう。
同梱物はこんな感じで、目新しいのは本体外周部にはめ込むイヤーフィンが3種類交換可能になっていることだ。装着感にも影響するし、付け外しの際の指がかりにもなるので、大サイズにさっそく付け替えた。シリコン製のイヤーピースは4サイズ同梱されているが、これはいつもの通りコンプライに交換するので使用しない(後述)。
充電用のUSBケーブルはなぜかA to Cとなっている。なおACアダプターは同梱されていない。
旧型との外観比較
さて、旧型のTrue Wireless 2と並べて眺めてみよう。
左が新しいTrue Wireless 3で右が旧型のTrue Wireless 2だ。クレードルは横幅がかなり小さくなっている。厚みや奥行きなどはほぼ変わらない。そして外装色の色がさらに濃くなった。
クレードルの状態で2個並んでいれば見分けはすぐにつくが、1個だけ置いてあるとパッとすぐに見分けるのは難しいかも知れない。持ち出し時の間違いを避けるためにも、旧型を紛らわしいところに置いておかないようにしなくては。
イヤホン本体はこんな感じだ。かなりデザインが変わって角張った形状になった。実体積はもちろんだが感覚的にも一回り小さくなったと実感する。形状的につまみやすくなった一方で、サイズ的には扱いにくくなっている面もあるので、出先での扱いは慎重にしたい。
そしてゼンハイザーのロゴがプリントされたタッチセンサー部分は、旧型の(安っぽい)シルバー調の仕上げから、本体色と同じくシームレスな仕上げになり、とても格好良くなったと思う(※ 個人の感想)。
デザイン的にもサイズ的にも、少し前のこの手のワイヤレスイヤホンは「耳に何か突っ込んでる」感が拭えなかったが、その辺の違和感もかなり軽減されてきた。慣れも多分にあると思うが装着感もとても良い。数時間付けっぱなしにしていても耳が痛くなったりすることがないし、歩き回っていても外れそうな不安感もない。
Smart Controlアプリ
状態の確認や設定を行うためのアプリは従来と同じSmart Controlを使用する。
イヤホン本体の細かい機能設定はすべてここから行える。イコライザーの調整やトランスペアレントモード時の外音量レベルなど細かく調整が出来る。ノイズキャンセリング、トランスペアレントモードなどのON/OFFなど、基本的な操作はタッチ操作で行えるのだが、そのタッチ操作の機能割り付けは自由にカスタマイズ可能だ。
ちなみにデフォルトのタッチ操作への機能割り付けは旧モデルと全く違っていて面食らった。オーディオの「再生/停止」からして左右反対になっていたりする。旧型と混ぜて使用する予定は今のところないので、新型の作法に慣れてしまえば良いだけなのだが、結局のところすべて旧型と同じ方式に変更した。
さらに「サウンドチェック」や「サウンドゾーン」という新機能もあるのだが、よく意味が分からないので今はまだ設定していない。そのうち調べてみようと思う。
イヤーピースはコンプライ400シリーズ
さて、イヤーピースは完全ワイヤレスイヤホンで数少ないカスタマイズ可能ポイントだ。別に個性を主張したいわけではないのだが、個人的にはもうかなり昔からイヤーピースはコンプライと決めている。
True Wireless 2までは”TrueGrip Pro”という専用品があったし、汎用品でも-200シリーズがほぼ適合していた。しかしTrue Wireless 3ではステム軸径が太くなり、旧型と互換性がなくなってしまった。しかも発売されたばかりで先人達による適合品情報も不足している。
とりあえずダメ元で対応ステム径が5.5mmの-400シリーズを1セットだけ買ってみたところ、ちょっときつめではあるがちゃんと装着できた。ユルユルで外れやすいよりはよほど良い。
購入したのはアジアンフィットでゴミ防止フィルター付きのTsx-400のMサイズだ。これならクレードルにもなんとか収まる。コンプライは消耗品なので交換用に3個セットを買い足しておいた。これで1年くらいは持つだろう。
なおコンプライの良いところは、とても柔らかくて耳の形状に沿ってぴったりフィットし、遮音性が非常に高くなることだ。これは音質にも影響を与え、場合によってはバランスが崩れたり。こもった感じになるのが嫌いだという人もいるだろう。ただ、遮音性が高くなるだけで主に低域側の音域がぐっと広がって感じられるので、ボリュームもほどほどで十分だし、ノイキャン等と合わせると本当に周辺ノイズが遮断される効果があり没入感が増すのでやめられない。約1週間使ってみての初期インプレッション
入手してから約1週間、さっそく日常生活の中で使ってみた。主に通勤時のバスや電車の中、および冒頭で書いた通り仕事中はほとんど使いっぱなしにしてみた上での、現時点の感想を書き留めておく。
音質については、それほど繊細な耳も、うまく表現する言葉を持っていないのだが、自分にとっては必要十分以上で大満足だ。一昔前のBluetoothイヤホンのぼんやりした薄味感とは隔世の感がある。
True Wireless 2と比べると明らかに低音のくっきり感が増していて。イコライザーでバスブーストしても以前のように音がぼやけてただボーボーするだけといった感じがない。一方で中高音がすっきり伸びるのはゼンハイザーらしい。
そして新しいノイキャンはとてもよく効く。世の中にはもっと上があるのだろうと思うが、旧型との差は歴然だ。地下鉄に乗っていても走行音はほとんど聞こえない。外を歩くときにノイキャンが効いてると外界と切り離されすぎて不安になるくらいだ。安全上の問題もあるので本当に必要な時だけONにしたほうがいいだろう。
うるさいオフィスでのノイキャン効果も抜群だ。何なら音楽はかけないで耳栓として使うのもありなくらい。人の声は完全に消えることはないが、どんなにうるさい声も気にならない程度の背景音に遠ざかってくれる。
周辺音を透過するトランスペアレントモードは相変わらず優秀だ。実際のところ外出中はほぼトランスペアレントモードにして、周辺音を遮断しないようにしている。オフィスでも人の呼びかけを無視しないようにするために役立つ。
昼食時や休憩中などクレードルに時々戻しつつも、朝の通勤中から日中を通して帰り道まで一日使っていて電池切れになることは今のところない。2時間くらい連続使用しても電池残量は70%位だったので、7時間というスペックも十分現実見栄がありそうだ。そのまま15分もクレードルに入れておくと100%に復帰している。また初代モデルのように数日使わないで放置しておくだけで放電してしまうこともない。
正直なところTrue Wireless 2から買い替える価値があるか?と言われるとお値段的には微妙なところだと思う。ただし音質とノイキャンは確実に良くなり、小さくなった分装着感も改善してはいる。外装デザインの好みも人それぞれだし、音楽の好みも人それぞれだが、自分にとってはまさにちょうど欲しいと思っていた内容で、欲しいと思ったそのタイミングで目の前に差し出されてしまったので仕方がない。
ノイキャンの進化分だけでも投資する価値はあったと思う。これで、ポストコロナの時代もなんとか乗り切れそうだ。