小浜島で22年前のNHK朝ドラ「ちゅらさん」のロケ地などを巡る

2023-12-02

 波照間島以外にも八重山の離島をいろいろと巡ってきた。今回は小浜島編をまとめておこうと思う。

 小浜島と言えば22年前のNHK朝ドラ「ちゅらさん」の舞台となった島だ。世代的に今でもこのドラマの内容をよく知っているという人は、もう多くないかもしれないが、放送当時とても人気が高く、本編の後に続編が3シリーズも作られたほどだ。

 ドラマは小浜島に始まり、主人公の成長とともに舞台は那覇、東京へと移っていく。古いドラマだし誰も怒らないだろうという前提で少しネタバレしてしまうと、成長して様々な経験をした主人公は、最終的に小浜島に帰る…… というエンディングを迎える。

 実際に八重山諸島の中でも小浜島出身のひとたちのUターン率は高いらしい(ソースはオーシャンOKINAWA/きいやま商店)ということで、どんなところなのか見てみたいと思い、朝一のフェリーで石垣から小浜島に渡った。

大岳展望台

 ロケ地を巡る前にまずは高いところに登ってみよう。小浜島は竹富島や黒島、波照間島と違って、比較的標高の高い山がありアップダウンが激しい。そんな小浜島の最高峰、標高99mの大岳の山頂にある展望台を目指す。

大岳に登る階段

 麓の駐車場から250段ほどの急な階段を登ると展望台に到達する。途中はこんな感じで草や樹木のトンネルとなっており、ハイビスカスやいろいろな花が咲き、シークワーサーっぽい柑橘系の実がなる木があり、その間を蝶(と蜂)が舞っている。
 

大岳展望台からの眺め:加屋真島方面

大岳展望台からの眺め:石垣島、竹富島方面

 わずか99mの山でも運動不足の体には堪えたが、なんとか登り切った先にある山頂の展望台からは、ぐるっと360度に渡って八重山の島々を眺めることが出来る。上の写真は加屋真島方面、下の写真は小浜港の方角だ。いずれも海の向こうに見えている山並みは石垣島だ。

 石垣島と西表島はもちろん、近くにある加屋真島をはじめ、竹富島、黒島、新城島、そして本当に天気が良くて視界があるときは波照間島まで見えるそうだ(見えていたのかも?)。この眺望は小浜島ならでは、そして標高が高い大岳ならではのものであり、珊瑚礁の海の色を高いところから見下ろせるのもとても良い。
 

コーラルビーチ

 「ちゅらさん」でも小浜島のビーチのシーンはよく出てきたのだが、実際にロケが行われたビーチは現在リゾートホテル内のプライベートビーチとなっており、宿泊者以外入ることが出来なくなってしまった。その代わり島の北側にあるコーラルビーチへやってきた。

コーラルビーチ

 急斜面を下った先にあって、それほど広くはないが秘境感のあるひっそりとしたビーチだった。白い砂の上には海ぶどうのような海藻が打ち上げられている。浜は砂と言うよりは貝や珊瑚などが砕けたものが打ち寄せられ、堆積しているかのようだった。
 

コーラルビーチの岩場

 岩場の奥へ奥へと進んでいくと秘境感は増してくる。もう進めないかも?と思っても、どこかしらルートが出来ていて先へ先へと進んでしまう。岩陰を抜けたところで自撮りをしている先客に出くわしたりするとビックリするとともにやや気まずくなったりもするのだが、そういうのもお互い様だ。

 そういえば、先ほどの展望台でもちょうど居合わせた他の旅行客と自然に会話になった。お互いにどこから来たとか、昨日はどこへ行ったとか、何を食べたとか、どこがお勧めだとかとか。自然に情報交換会になる。元来人見知りであまりそういうことは出来ない性格なのだが、それもこの美しくて緩い感じの小浜島の空気がそうさせるのかもしれない。

アカヤ崎から石長田海岸へ

 「ちゅらさん」の中の重要なシーンのいくつかは、海沿いの台地の上に立つガジュマルの一本木、ドラマ内での通称「和也の木」の下で撮られている。ぜひ現場に行ってみてみたい!と思ったのだが、あの木はフィクションであり実在しない(撮影時にはわざわざ植えた)ということは事前に知っていた。

 小浜島に着いてからも地元の人に「ガジュマルはそもそもあんな開けた風通しの良い場所には育たないですよ」という話を聞いた。なるほど。

小浜島の牧場

 せめてロケ地となったアカヤ崎だけでも…… と思ったのだが、現地は牧場の敷地内で立ち入ることは出来ない(以前は入れた時期もあったらしいのだが、牛の感染症問題もあって今は入れない)。なので現地の風景を見ることはできなかった。

 代わりに近くまで行って路上から牧場での牛さん達を遠巻きに眺めてきた。小浜島はさとうきび畑以外にも畜産牧場がたくさんあるようだ。放牧された牛の背後にさとうきび畑が広がる光景は八重山ならでは、特に小浜島ならではのものではないかと思う。
 

カトレ展望台からマングローブの森と西表島を眺める

カトレ展望台付近の遠浅の海

 さらにロケ地とは関係ないのだが、島の西側にある石長田海岸にも寄ってみた。ここは海辺に広がるマングローブの森があって、すぐ対岸には西表島を間近に見ることができる。目の前に見えていた小さな島の名前は分からない。御嶽でもありそうな雰囲気だ。

 この辺りの海は珊瑚礁とは違う濁った色をしていて、海底には土が堆積してるようだ。 そしてちょろちょろと海面から生えているのはマングローブの幼木だろうか。沖へ広がろうとするマングローブと、それを押し戻す海とのせめぎ合いが行われているのかもしれない。

 真っ白な砂と真っ青な海、エメラルドグリーンの珊瑚礁とは違う海の景色にしばし見とれてしまった。

出会いと別れ、プロポーズの現場 細崎港

 さて「ちゅらさん」のロケ地めぐりはここから本格化する。まずは細く伸びた島の西端、細崎へやってきた。ここは沖縄本島から移住してきた人たちが集まっている集落らしい。

細崎港

 実際に石垣島と行き来をする船が出ているのは島の反対側にある小浜港なのだが、ドラマではこの細崎港が島の玄関口として設定されていた。なので小浜島に出入りする登場人物達のシーンはすべてここで撮られている。古いフォルクスワーゲンに乗ったお父さんが、お客さんを出迎えるために三線を弾きながら「十九の春」を歌っていたのもこの港だ。

 島民達エキストラも大勢集められ、賑やかなフェリーターミナルのように描かれていたが、現場はとても静かな小さな漁港といった感じだ。港の横にはマンタの形をした展望台があって公園になっており、それは観光ガイドにも載っているのだが、それよりもこっちの漁港の方が断然気になる。
 

細崎港の防波堤

 そんな細崎港の端っこにある防波堤。普通に出入りが出来るようになっていたので行ってみた。

 ドラマの序盤、まだ小学生だった主人公のエリーは、東京へ帰る文也くんの乗った船を追いかけながらこの防波堤の上を端っこまで走り「結婚しようね〜!」と叫ぶのだが、そのシーンはドラマ内でも繰り返し繰り返し挿入される重要なエピソードとなっている。

 そうか、ここがあのシーンの撮影現場か。と、静かに感動してしみじみと防波堤の上を歩いてみた。ほとんど無人だったので、実際に走って「結婚しようね〜!」と叫んでみたかったところだが、心の中だけにしておいた。
 

くばざきの港家 かき氷

 帰りがけに細崎港にある「くばざきの港家」で少し買い物をし、あまりにも暑かったのでかき氷を食べた。沖縄らしさとか小浜島らしさとかそういうのは関係ない。冷たくて甘いものバンザイ。
 

シュガーロードからこはぐら荘へ

 そして島の中心付近の高台にある小浜集落へ向かった。その途中にはやはりドラマ内で繰り返し登場し、多くの登場人物達が通った一本道、通称「シュガーロード」がある。ぜひ行ってみなくては!

シュガーロード集落方面向き

 道の真ん中が低くなって谷状になっているのは、山がちな小浜島らしい。「シュガーロード」の名の通り両脇はさとうきび畑が広がっているが、それだけでなく一部は牧場にもなっている。

 この写真では港側から集落方面を向いているが、ドラマの中では電柱は右ではなくて左だったっけ?
 

シュガーロード集落側から

 ということで、逆側に移動して今度は集落側から海の方を向いてみた。うん、多分ほとんどのシーンはこちら側から撮影されていたはずだ。

 22年前と比べて景色がどの程度変わっているかは分からないが、初めて来たのになぜか懐かしい感じがしてくる。景勝地として格別すごいわけではないので、もしかしたらドラマを知らない人からすれば、ガッカリスポットにもなり得るのではないかと心配になるが、山谷もさとうきび畑も牧場も含めて小浜島らしさが詰まっているし、自分にとっては最高の聖地巡礼ポイントだ。
 

こはぐら荘

 そしてシュガーロードを上りきって集落の細い道に入っていくと、古い沖縄の民家が建ち並ぶ中に「こはぐら荘」がある。主人公達が暮らしていた小浜島の家として、この玄関先は何度もドラマ内に登場する。本物かどうか分からないがドラマで見たのと同じ「こはぐら荘」の看板もそのまま置かれていた。

 この家は国の登録有形文化財にも指定されており、ドラマのために建てられたりしたものではない。那覇の家と同じく、撮影当時から個人宅でありそれは現在でも同じだ。なので外観を眺めるだけで決して敷地内に立ち入ったり覗き込んだりしてはいけない(実際家の中はドラマの撮影では使われていないはずだ)。
 

小浜島の集落

 周辺はとても静かで、琉球石灰岩による石積みの塀がならぶ八重山ならではの集落となっている。その中をしばらく散歩しながら、エリーやおばぁ達がどんな暮らしをしていたのか、想像するのが楽しい。やはりこのこはぐら荘周辺が、ちゅらさんにとっての一番の「聖地」たりえるロケ地ではないかと思う。
 

ヤギもやっぱりいる

 その他にも学校や御嶽、お墓などロケ地はあるのだが、すべては見つけられなかった。

小浜島のヤギ

 ヤギもやっぱりいる。牛の方が数は多そうだったけれども。あと、写真は撮れなかったのだがとても立派なクジャクを見かけた。昔に島に持ち込まれたものが野生化しているらしく、今ではある意味小浜島名物なのだとか。
 

小浜港

 島めぐりの足はやはりレンタサイクルが多いが、小浜港にはレンタルバイクもレンタカーもある。レンタカーは事前予約も出来るし、空きがあれば当日その場でも貸してくれる。小浜島はアップダウンが非常に激しいので、電動アシストでも自転車で走り回るにはそれなりに体力が必要だろう。
 

小浜島のレンタカー

 いろいろな都合を勘案して今回はレンタカーを借りた。スズキのかわいい色した軽自動車クロスビーで、中も広々出とても乗り心地もよく便利だった。駐車場所に気をつけないといけないが、ゆったりと島めぐりをするにはレンタカーもアリだと思う。
 

小浜港

 ということで、夕方の船で石垣島に戻る。小浜島には大きなリゾートホテルが二つあり、日本最南端のゴルフ場もあるということで、午後から夕方にかけて大きな荷物を持って上陸してくる観光客も多い。ゴルフはやらないけれど、ハイシーズンであればいろいろなマリンスポーツやアクティビティなども含めて考えたら、リゾート地としての小浜島に泊まるという旅もアリなのか……。なるほどなるほど。

 あと、じつはこの小浜島でのロケ地めぐりの中でサプライズがあった。というのは石垣に戻る小浜港で「ちゅらさん」に出演していた俳優さんの一人にばったり出会ったのだ。なんという偶然!20年前と変わってない! 思わず役名で声をかけそうになってしまった。実際のところこれが聖地巡礼のクライマックスだったかもしれない。
 

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