今回の旅では石垣島に5泊したのだが、そのうち3日を使って小浜島、波照間島、竹富島の3島を巡ってきた。残りの日は石垣島をドライブしたり、宿泊したホテルでボーッと過ごしたりしていた。その離島めぐりのベースキャンプとなった石垣島の思い出を最後にまとめておこうと思う。
旅はいつもそうだが、何しろ色々なことがあって、しかもそれらはほぼ無計画だったので、時系列で項目別に綺麗に要点をまとめることは放棄する。目についた写真と思いついたことをダラダラ並べておく。
石垣島の名所めぐり
石垣島内の移動手段としては、計画的にバスやタクシーを利用するという手もあるのだが、やはり自由にその場の思いつきで移動したいのでレンタカーを借りた。そして天気や気分で島内の有名どころをいくつかまわってみた。
到着当日、空港でレンタカーを借りたらとりあえず石垣島最北端を目指す。石垣島は縦に細長くて北に行くとほぼ一本道となり、その突き当たりに平久保崎がある。
目の前の海は珊瑚礁が広がり、少し沖に大地離島という小さな無人島がある。その向こう真北の方角には、地図で見る限りずっと東シナ海が広がり朝鮮半島または大陸に行き当たるまで何もない海が広がっているはずだ。
東を向くと平久保ビーチを見下ろすことが出来る。恐らくそのビーチのどこかから離陸したのであろうモーターパラグライダーが飛んでいた。二人組で後がパイロット、前には観光客を乗せていると思われる。展望台までかなり近づいてきて、ほとんど顔が判別できそうな距離でお互いに手を振り合うというスリルを味わった。
どこの誰だか分からないのだが思わず写真を撮ってしまった。もし自分がパラグライダーに乗っている側だったら「その写真くれ〜」と思うだろうけど、もしかしたらこの人は「撮るな〜」と思っていたかもしれない。その辺の考え方は人ぞれぞれだろうから。
次に西海岸を南下して、石垣島でも一番の景勝地である川平湾へやってきた。石垣島の初心者としては必ず訪れなくてはならない。
天気が良かったおかげもあって、本当に写真で見たままの素晴らしい景色が目の前に広がっていた。小さな島が点在する奥まった湾に、浅い一面エメラルドグリーンの海。白い砂浜に停泊する観光船。これはすごい景色だ。
砂浜に降りてしばらく歩き回ってみた。どこをどう切り取っても美しい。しかし目線が低くなると海が見えなくなってしまうのがちょっとつまらない。いや、肉眼で見てる限りはどこで見ようと美しいのだけど、写真に撮ると海の美しさが半減してしまう気がする。
ちなみにグラスボートには乗らなかった。石垣島に1週間滞在するうちに、また来られるだろうと思って後回しにしてしまったのだ。幸か不幸か今回は他のことで忙しく、再訪するチャンスはなかった。なのでそれはまた次回以降の宿題としておこう。
川平湾は超メジャー観光地らしく駐車場周辺にはお土産屋さんなどが立ち並んでいる。が、勝手な言い分なのは承知で本心の感想を言うと、あまり開発されすぎていなくてとてもちょうど良い感じだと思った。古き良き時代の観光地の風情が残っているというか何というか。
その雰囲気に飲まれていろいろ買い物したり、わりと良いお値段する生搾りジュースを飲んだりして楽しんでしまった。島ぞうりは石垣島に来る前から必ずどこかで買おうと思っていたので、見つけた瞬間即買いしてしまった。観光地プレミアがやや乗ってるかもしれないが問題ない。
川平湾の後、ホテルに向かう途中で吹通川のマングローブ林を見てきた。今回は日程と優先順位付けの都合で行けなかったのだが、西表島にありそうな景色の片鱗を味わえる。
さらに、最近になって映えスポットとして有名になった一本マングローブ。道路沿いの遠浅の海辺にポツンと1本だけマングローブが生えている。というか、周辺にはマングローブの生息地が広がっているのだが、この1本だけ離れたところにポツンと生えているのだ。もちろん人工的に造られたものではない(よね?)。
写真撮影的には夕陽やマジックアワー、そして星景写真として撮られることが定番なのだが、今回はとりあえずお昼頃に見に行った。しかもお天気があまり良くないので、とりあえず今後また訪れる時のためのロケハンとして押さえておいた。
時期も時間も違うためか、駐車スペースも空いていたし他に誰もいなかったので、このマングローブを独り占めできたのはとても良かった。次に来るときまで元気にそのままでいて欲しい。
石垣市街地からほど近いところに石垣鍾乳洞がある。鍾乳洞と言うからにはもっと山奥にあるかと思えば、まだかなり平らな場所にあって、本当にこんな開けたところに鍾乳洞があるのか?と思わず疑ってしまった。
中に入ってみるとかなり本格的な鍾乳洞で、遊歩道は600mほどあってなかなか盛りだくさんだ。洞内のライトアップは今となってはやや古くさい感じがするし、鍾乳洞の見せ方としてどうなのか?と、少し思わなくもないが、食堂とお土産屋さん、トイレなどが完備されているところも含めてベタな観光スポットらしさがむしろとてもよい。
宿泊したフサキビーチリゾートから毎日夕陽を眺めていた
宿泊先は石垣島南西部の海沿いにあるフサキビーチリゾートというホテルだ。かなり規模の大きいリゾートホテルで、プライベートビーチとマリンアクティビティの数々に加え、屋外プールだけでなく屋内プールや大浴場などなど、設備やサービスもとても充実している。
特にプライベートビーチは良く管理されていることも含めて広くて美しい。そしてほぼ真西を向いているため、季節にかかわらず美しい夕陽が見られる絶景ポイントでもある。
11月下旬、日没の位置はかなり南に寄っているわけだが、むしろ海と桟橋と夕陽の絡みが美しい。水平線上に見える島影は西表島だろうか。方角的にこのビーチからは小浜島も西表島もほぼ全景が見えているはずだ。
海に飛び出ている桟橋はフサキビーチのシンボルとも言えるもので「エンジェルピア」という名前が付いている。恐らく観光用に作られた特に機能のない桟橋なのだろう。しかし今はこのように海の上に新たに構造物を作ることは出来なくなっている(条例で制限されている?)ので、古い時代のこの桟橋は貴重なものらしい。
これはまた別の日。石垣島は日本のかなり南に位置していると同時に西でもあるので、特に東京と比べると日の入り時刻がかなり遅い。だいたい1時間半くらい違うのではないだろうか? 11月下旬はちょうど6時前が日没時刻ということで、毎日その時刻になるとビーチに出て夕陽を眺めていた。もちろん同じことを考える人は多い。
水平線まで完全に雲が取れることはなかったが、かえってその方が景色に表情があって良い。概ね天候に恵まれて素晴らしく美しい(=八重山の方言で「清しゃ(かいしゃ)」と言うらしい)夕陽を毎日眺めることが出来た。
さて、石垣島を含む八重山諸島と言えば星空が綺麗なことでも有名だ。せっかく天候はまずまずの日が多かったのだが、残念ながら訪れていた時期はちょうど満月前の月夜で、星を見るには条件が悪い。実際、空が暗いところであればあるほど、月がいかに明るいのかを実感する。それでも一応夜になってからカメラを持ってビーチに出てみたりした。
↑この写真を撮った夜は月どころか雲が出てきて星はほとんど見えなかったが、1枚試しにスローシャッター切ってみると雲の流れが面白かったので、それはそれでたくさん写真を撮って遊んでいた。
雲がない別の日、満月に近い月が画角に入らないように撮ってみたが、やはり星はあまり写らない。実際肉眼でもそれほど見えていなかったので仕方がない。
↑ここに貼った縮小画像だと星はほとんど見えないかも。でもまぁ証拠写真(何のだ?)にはなったと思う。明け方になれば月は沈んで降るような星空が見えた瞬間も合ったのかも知れないが、薬を飲んでしまうと不規則な時間に目を覚ますことは難しいので諦めた。綺麗な星空を眺めることは次回の重要な宿題事項のひとつだ。
食べたものとかその他いろいろ
宿泊地は市街地から外れたところだったので、実はほとんど市街地を散策することができなかった。なのであまり食べ歩きもしていない、というか今回は飲食に関しては優先順位を下げて後回しにした。昼などは適当にジューシーおにぎりとかポークたまごで済ませたり(それはそれでとても美味しかった)。
3日間にわたって離島めぐりをしたので、石垣港離島ターミナルは何度も利用することになり、従ってこの有名な具志堅用高像にも何度も挨拶をした。市街地にある彼の実家の横には記念館もあって、実際に目の前まで行ったのだが、結局中には入ってない。
石垣島の某所で出会った猫さん。とても人なつっこく美形だった。ついヤギや牛に気を取られがちだったが、石垣島や八重山の島々には猫もたくさんいた。
ちょうどカメラを持って散歩中に出会った鳥。調べてみるとズグロミゾゴイという鳥の幼鳥のようだ。東南アジア圏が生息域で、日本では八重山諸島でしか見られないらしい。石垣島では珍しくないみたいだが、全国的には珍鳥の部類に入る。
宿泊したフサキビーチリゾートはあまりにも広くて移動がいちいち大変だったが、規模が大きいというのはそれはそれでむしろこのホテルの良いところでもある。事前にチェックしていたいろいろなサイトの口コミは、ごく一部に極端な低評価が紛れていて少し心配だったのだが、やはりそういうのは特殊なケースらしい。設備もホスピタリティもなにもかも期待通りに素晴らしいリゾート体験が出来たと思う。
旅の目的やスタイルによるが、今回と同じようにある程度の期間滞在して、どこにも出かけない日を設けるようなのんびりした旅にするならば、また石垣島を訪れる際にぜひリピートしたいと思っている。
先ほども書いた通り、あまり食事についてはこだわらず、従ってあまりちゃんと写真も撮っていないのだが、それでももちろん八重山そばは何杯も食べたし、高級な石垣牛のステーキも奮発して食べてきた。ビーチ脇にあるオープンエアなバーで夜な夜なお酒を飲むという贅沢もした。食べ歩きメインの旅はまたいずれやりたいと思う。
石垣島(と波照間島)に今年中に行こう!と決めたのは2023年の年明けのことで、日程を確定し、航空券やホテルなどもろもろの手配をしたのは6月下旬のことだった。いずれにしても今年1年はこの旅のために日々を送っていた言っても決して大げさではない。
そんな意気込みだった割には、細かい日程や予定をあらかじめ立てることはせず、従ってあまり現地のことを調べ尽くすこともせず、いつどこにどうやって行くかは概ね現地に着いてから決めた。
調べすぎることで思い込みと固定概念による勝手なイメージを作りあげてしまうと、予定が狂ったり思っていたのと違うと感じたときにガッカリするのが怖かったとも言える。「呼ばれていた」からには、そこで起こることはすべて受け入れなくてはならない…… と言えば分かってもらえるだろうか?
結果的に天気にはものすごく恵まれ、行き当たりばったりの行動もすべてうまく行き、やりたいこと、行きたいところはだいたいクリアし、さらに想像していなかったような発見の数々に恵まれた旅となった。
もちろん表面を舐めただけですべてが分かった気になったわけではない。旅先としての八重山諸島という土地と自分の距離感が確認できたことで、次回以降の宿題が明確になり、もっと気楽に、何回でも訪れることが出来るだろう。そんな確信と安心感を得られたことが一番の収穫だったと思う。