牛とウミガメと御嶽を見て回る黒島一周の旅

2025-12-06

 一昨年と昨年に続き今年も八重山諸島へ出かけてきた。これまでに石垣島から竹富島小浜島波照間島へは渡ったことがあるが、まだまだ未踏の離島がある。ということで、今回はそんな個人的未踏の島のひとつ、黒島をまずは目指すことにした。石垣の離島ターミナルから高速船で約30分と、実はそんなに遠くない。

 黒島に到着したら自転車を借りてさっそく出発する。残念ながら天候はドン曇で、なんなら少し雨がぱらついているくらいだ。しかしながら天気ばかりは仕方ない。何度も通っていればそういうこともあるだろう。

黒島研究所看板

 まずは島の南西側にある黒島研究所へやってきた。ここはサメやウミガメなどが展示される小さな水族館であり、名前の通り研究施設でもある。各所の口コミがかなり良いので楽しみにしていた。本当に天気が悪ければとりあえずここだけでも見ておけば良いか、と言うくらいの勢いで。
 

黒島研究所展示室

黒島研究所のウミガメ

 中にはいろいろな生き物の標本などが並ぶ展示室とともに、いろいろな水槽もあってウミガメ(の子ども)などの実物を見ることができる。サメとかちょっと怖いやつもいる。
 

黒島研究所

 入り口に掲げられた看板。黒島は人よりも牛が多いと言われているが、10倍以上の差があるとは。その他の数字は評価が難しいけど興味深い。
 

黒島の牛

 人の10倍もいると実感するかどうかはともかく、島を自転車で走っていると周囲のほとんどは牧場となっていて、牛の姿をあちこちで見かける。声も聞こえるし匂いもする。なるほど、ここは本当に牛の島なんだ!

 なお道路から牛までの距離が近いせいなのか、あるいは彼ら彼女らの性格のせいか、やけにこっちを気にしてじっと見つめられることが多かった。カメラを見ているのだろうか。場合によっては「何勝手に撮ってんだよ💢」みたいな感じでノシノシと近寄ってきたりするのでドキドキした。
 

黒島の牛

黒島の石垣と牛

 八重山の島々にはあちこちにさとうきび畑が広がっているというイメージだが、黒島にはむしろさとうきび畑はほとんど見かけることがなく、牛だらけという感じだ。広い平らな牧草の風景の中に牛がいるとなると、ふとした瞬間に北海道味を感じるほどだ…… といっても言い過ぎではないかもしれない。
 

黒島の御嶽(船浦嶽)

黒島の名もなき御嶽

 そしてタイトルにも書いたのだが、黒島には御嶽が多いのではないかと感じた。一観光客がたまたまそう感じたというだけで、実際他の島や地域と比べてどうなのかは分からない。しかし自転車で走っていると、そこかしこにこうした鳥居のようなものに出会い、その奥にいわゆる御嶽があることがわかる。
 

黒島の丁字交差点(比江地御嶽)

 集落の中の道路沿いや港の周辺でもいくつも見かけた。

 なお、こうした御嶽は地元の人のためのもので、今なお神聖な場所として扱われているので、観光客が立ち入ってはいけない。それをいうなら外からとはいえ近づいて覗き込んで写真を撮るのもよくないのかもしれないが。しかしこうした感じの小さな御嶽が存在する場所の、静かでピリッと張り詰めた空気感がどうも気になる。
 

黒島のプズマリ

 黒島には薩摩藩支配時代の番所跡や琉球王府時代の古い遺構などもいくつか見ることができる。そのひとつがこの「プズマリ」と呼ばれる遠見台で、琉球石灰岩を高く積んで作られている。島の南西、新城島側にあって、ここから海の往来を監視していたらしい。他の島にも同じような遠見台があるそうだが、はじめて見た。
 

伊古桟橋の牛ベンチ

 黒島で楽しみにしていた絶景ポイントといえば伊古桟橋だ。お天気が良くないせいか、そもそもシーズンオフだからなのか、誰一人いない貸し切り状態だった。そもそも石垣島からの船に乗っている観光客らしき人は数えるほどしかいなかったのだから、貸し切り状態なのは当然なのかもしれない。
 

伊古桟橋

伊古桟橋

 島の北側にあって石垣島の方を向いている。長さは350m以上ととても長く、桟橋の伸びるエリアはずっと遠浅で、潮が引くと桟橋として機能しなくなるくらいだそうだ。

 今は使われておらずかなり傷んでいるように見えるが、その古びた感じもとてもよい。端っこまで歩いて行くことが出来るので当然行ってきた。あまりの長さにふと後ろを振り返ると陸地があまりにも遠く、突然不安になったりする。

 暖かい晴れた日なら海に飛び込みたくなるだろう。そしてその時の絶景ぶりが目に浮かぶ。カメラのファインダーにも浮かぶ。またそういう日に改めて訪れたい。
 

黒島の集落にある自販機と看板

黒島郵便局

 島の中心部には集落がある。琉球石灰岩の石を積んだ塀に囲まれた沖縄の伝統的な家屋などもあり、他の島の集落などと同様に風情を楽しむことが出来る。夏には営業しているであろう観光客向けのお店のほとんどはやっていなかった。

 黒島では「アーサそば」が名物でがオススメらしく、レンタサイクル屋の方が「営業しているはず」とあらかじめ一軒お勧め店を紹介してくれていたのだが、店の前まで行くとやはり休業だった。仕方がないまた別の機会に出直すことにしよう。
 

西ノ浜

 曇り空でも海の色は綺麗だった。
 

黒島灯台の東屋

西ノ浜からの眺め

 ウミガメの姿を見ることができるかも?と言われたポイントをいくつか巡ってみたが見つけることは出来なかった。まぁ冬場はどちらかと言うと遭遇率が低い季節なはずだ。
 

黒島の森

 ということで、天気は残念だったが静かでほとんど貸し切りみたいな黒島をのんびりと自転車で一周回ってきた。それでも海はとても綺麗で、集落は風情があって、牛は沢山いるし、御嶽の神秘的な空気もたっぷり吸うことが出来た。竹富島とも小浜島とも波照間島とも違う、黒島独自の雰囲気がある。

 写真的にはイマイチだったが、これはロケハンだと思ってまたいずれ訪れたい。
 

黒島のヤギ

 おまけ。ヤギもいたよ! 
 


 


 

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