今年も遅咲きだった木場公園〜門前仲町周辺のソメイヨシノ

2025-04-14

 雑食のアマチュア写真家としては桜の写真は毎年撮ることにしている。東京都内ではすでにシーズンは終わりかけているので今さらではあるのだが、今年2025年の地元周辺のソメイヨシノとそれに近い種類の桜がどんな感じだったか記録を残しておこうと思う。

BBQ広場から芝生広場の一本桜を眺める(絞り開放)

 ソメイヨシノと言えば、温暖化の影響なのかここ20年くらいの間に開花が少しずつ早まり、卒業シーズンに咲くものとなってきていた。しかし暖冬傾向に変わりはないのに、昨年と今年はなぜか開花が大幅に遅くなり、入学シーズンに見頃を迎えるようになっている。数年前までは東京で4月の中旬に桜が見られるなんて考えられなかったことだが、たまたまなのだろうか?

 気象庁の公式発表は自分の地元で見るソメイヨシノの開花状況と大幅に異なっているので、敢えて引用はしないが、東京23区周辺ではだいたい3月末に開花しはじめてから4月中旬までお花見期間が続いた。天気は今ひとつな日が多く、風も吹いたがそれなりに長持ちした方だと思う。

 そんな約2週間にわたる近所の桜(ソメイヨシノ)の様子を以下に時系列に並べておく。

3月末:木場公園の周辺(GR IIIx)

 開花が始まってから最初の週末。まだカレンダー的には3月だった。この頃すでに都心部では満開宣言が出ていたように思うが、木場周辺ままだ咲き始めなのでGR IIIxだけ持って様子を見に出かけてみた。

大横川のオオシマザクラ

大横川のオオシマザクラ

 大横川沿いの遊歩道を歩いてみると、ソメイヨシノはまだほとんど咲いていない。そんな並木道に所々に混ざっているオオシマザクラは満開近くを迎え見事な姿だった。オオシマザクラはソメイヨシノに比べると花の色がいっそう白く、開花と同時に葉が出てくるので遠目に見ると全体に緑がかって見える。

 この辺りの桜並木では、老木となって寿命を迎えつつあるソメイヨシノが切り倒され、代わりにソメイヨシノの片親でもあるオオシマザクラが植えられることが増えてきている。なのでそのうち桜と言えばこの姿になるのではないかと思う。それも悪くないかもしれない。
 

早くもスズメに食いちぎられた桜

 やっと咲き始めたソメイヨシノは早くもスズメにやられて花を落としていた。梅も河津桜も開花が遅くて、それをあてにしている都会の小鳥たちは待ちくたびれていたのかもしれない。スズメのせいで桜の木が丸裸になることはさすがにないが、咲き始めたばかりなのに!とヤキモキしてしまう。

4月第一週:木場周辺街角(Nikon Z8)

 さらに約一週間後。4月に入ったばかりの頃、散歩ついでにソメイヨシノの状況を見て回ると、それなりに良い感じになってきたようだ。気温次第では一晩くらいで一気に満開まで進みそうな感じで本当の満開一歩手前といった気配だ。

大横川の桜のトンネル

大横川のソメイヨシノ

 木場公園にほど近い大横川沿いの桜並木。このソメイヨシノの並木道は、10年前は素晴らしい景色で東京の隠れた桜の名所と自信を持って言えたのだが、最近は樹勢がかなり落ちてきて、病気にかかった木も多く、だんだんと華やかさがなくなってきた。ちなみに花がボール状に咲くのは老化した木の特徴らしい。そのせいか満開になってもボリューム感があまりない。
 

木場親水公園の桜

 木場親水公園までやってきた。この辺の木はまだまだ元気なようだ。というか、ここに桜並木があるのは知らなかった。来年からお花見巡回コースに入れておこうと思う。

4月第一週末:木場公園(Nikon Z8)

 暖かい日が続き、日に日に開花が進んで来た4月の最初の週末。ちょうど土曜日のお天気が良さそうだったので、木場公園に出かけてみた。

BBQ広場の桜

BBQ広場の桜

 バーベキュー広場はソメイヨシノの森になっている。コロナ禍ではバーベキュー自体が中止されていてとても静かで素晴らしいお花見ポイントだったのだが、今はもう違う。賑わいと喧噪とバーベキューの香りと煙。それもまぁお花見らしくて良いのかもしれない。

 この広場はバーベキュー客だけでなく、誰でも出入り自由なので、多くの人が桜目当てにやってきて根が踏まれまくっている。それでもこれらのソメイヨシノの木々はとても見事な大きさと密度で、たっぷりと花を咲かせ素晴らしい姿を見せるのだが、やはり木としてのピークは過ぎたのかもしれない。一部枝が大幅に剪定されてほとんど花をつけなくなった木があった……。やはりここも老化には勝てないのか……。
 

BBQ広場のしだれ桜

 ソメイヨシノだけでなく、ピンクの色が濃い枝垂系の別の種類の桜も咲いている。以前は開花時期がソメイヨシノとずれていたという記憶があるのだが、今年はほぼ同時に咲いて、同時に散っていったようだ。
 

木場公園の芝生広場の桜

 バーベキュー広場から芝生広場に咲く一本桜を望む。芝生広場には4本ほどバラバラにソメイヨシノの木があって、そのうち2本はかなりの大木に育っている。桜の並木もとても良いが、広い芝生にポツンと一本だけ咲く桜も風情がある。

 場所が場所なだけにこれも根が踏まれまくるのだが大丈夫なのだろうか? それが唯一の問題と言うことではないと思うのだが、最近はどのソメイヨシノの木を見ても、来年はもうこの景色はないのかもしれない……と思いながら撮っている。

 なお↑この写真はこの記事のトップに貼った写真と同じ位置で撮ったものだが、絞り値が違っている。今までだったらトップに貼った方(絞りを開け気味)を撮って満足していただろう。しかし最近「樹木などの風景にボケは不要なので基本f16で撮る」という写真家さんの話を聞いてからf16で撮ることを意識的にやってみている。ボケがあると立体感が出ると思い込んでいたが、確かにこの場合「ボケは不要」という意味が分かるようになってきた。

4月第一週末:門前仲町の夜桜(Nikon Zf)

 同じ日、4月第一週週末の土曜日。結果的にこの日が日取り的にも咲き具合的にも、そして天候的にも今シーズン一番のお花見日和になったと思う。なので日没を迎えた頃に「大江戸さくらまつり」が開催されている門前仲町に出かけてみた。

大江戸さくらまつり夜桜

 門前仲町の南側を流れるこの川も大横川だ。巴橋から石島橋、黒船橋をはさんで越中島橋まで続くソメイヨシノの並木道でライトアップが行われている。船から見る川沿いの桜のライトアップはさぞ綺麗なことだろう。ゆっくりと遊歩道を歩きながらの夜桜見物も悪くない。
  

大横川の夜桜

大横川の夜桜

 年末のイルミネーション用に手に入れたブラックミストフィルターを使ってみた。強い光源に良く効いてとても幻想的で良い感じだ。

 実際のところまだ満開一歩手前という開花状況だったが、しかしいろいろな都合の関係で「大江戸さくらまつり」と桜並木のライトアップは、翌日曜日(4月第一日曜日)が最終日となっていた。日程が読みづらい桜関連のイベントは大変だろうと思うが、あと一週間後にずらすことが出来ればぴったりだったかもしれない。
 

大横川の夜桜

 つい寄って撮ってしまいがちな都会の桜だが、ある時期から「花」ではなく「木」を撮ることを意識していたら、いつの間にか癖になって逆に引き気味の「木」の写真ばかりで物足りなく感じていたところだ。せっかくマイクロレンズを持っているのだからと花のアップも撮ってみたが、どうしたら良いのかよく分からない。レンズの性能的にはもっと寄れるのだが。

 ちなみにこれもブラックミストを使っているので、少しほんわりとしていると思う。こうなると素のキレキレの描写のままではどんな写りになってしまうのやら。LED照明になってから特にそう感じる。

4月第2週末:木場公園(iPhone 15 Pro Max)

 さらに一週間が過ぎた4月も半ばを迎えた第二週の週末。平日の間にちょっとした春の嵐もあったりして、桜はだいぶ散ってしまったようだが、花吹雪や花びらの絨毯、花筏などがワンチャン見られるかも?と思ってまた木場公園に散歩に出かけてみた。

木場公園の桜と東京スカイツリーの天辺

 木場公園大橋と桜と東京スカイツリーのゲイン塔。ここは毎年必ずシャッターを切る定点観測ポイント。桜が木のてっぺんまで綺麗に咲ききっていないと迫力が出ない。なのでこの写真を撮る上では、この週末が一番だったと思う。実際のところ下の方はもうかなり散っているのだが。
 

仙台堀川沿いの一本桜

 仙台堀川横の公園にある一本桜。これももちろん散り始めているがまだまだお花見には十分な咲きっぷりだ。ここは地元の知る人ぞ知るお花見ポイントで良い距離感でシートを広げられる。
 

桜の絨毯と影

 桜のような季節ものは気安く「また来年が楽しみ!」と言ってしまいがちだが、年老いたり病気になったソメイヨシノの木がまたオフシーズン中に切られてしまい、来年はもうこれらの写真は撮れなくなっているのかも知れない。実際にそうして年々近所のお花見ポイントは減ってきている。

 だからこそ、本当に実感を込めて心の底から「また来年!」と締めくくっておこうと思う。
 


 

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